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こんにちわ、五十嵐です。

4年に1度開催されるPARIS BREST PARIS Randonneurに出場しました。


8月16日のスタートから54時間、880kmを過ぎたあたりから幻覚と幻聴に散々苦しめられ、PC10 FOUGERES(919km)に到着したのは8月19日未明1時20分。



「チェックポイントのクローズ時刻まで、20分仮眠しよう・・・」
雑魚寝の仮眠所に敷かれたマットレスは、疲れ果てた様子のランドヌールたちですし詰め状態。見つけた隙間に横になり、スマホのアラームを20分後にセット。パスポートと財布の入ったサコッシュ、カメラを抱き目をつむると深い眠りの中へ・・・






ある時、“緊迫”のようなものを感じて飛び起きると、窓から陽が差していました。






・・・・・!?!?

時計を見ると、19日朝6時45分!なんと5時間も寝過ごしてしまいました。

次のPC11まで89kmあり、クローズ時刻まで1時間10分・・・。

「やるっきゃない・・・!」

無論、クローズ時刻に間に合いませんが、PBPのルールでは
「チェックポイント1ヶ所のクローズ時刻に間に合わなくても、その次のチェックポイントで遅れを取り戻せば走行の継続を認める」とのこと。
つまり、次のPC11のクローズに間に合わなくても、PC12のクローズに間に合えば走り続けられるということです。


PC12 MORTAGNE-au-PERCHE(1089km)のクローズ時刻は19日13時37分。
「170kmを6時間40分以内、 平均速度28km/h以上で走れば間に合う・・・!」

地平線まで連なるパッチワークの丘の景色。その真ん中でで無我夢中になってペダルを踏み、距離と時間を何度も計算。身体のどこにも痛みや不調は感じず、パンクさえしなければ間に合うだろうと考えました。

スタートから100kmも平均速度28km/hで走ったのですが、ここではプロ級のレーサーたちと先頭をローテーションした(実は牽いてもらっただけ)ので、集団のなかに入ってしまえばクルマに乗っているかのようにラクに進みました。
しかし今は同時刻にスタートした組から大きく遅れ、同じように速く走ろうという人は一人もいません。

クローズ時刻から2時間40分遅れてPC11 VILLAINES-la-JUHEL(1008km)に到着。時刻は19日10時30分。
町を挙げてお祭りムードに包まれ、チェックポイント付近には大観衆が詰めかけていたのですが、声援に笑顔で応じる余裕もなく、愛想もなく通過チェックを済ませて走り出しました。



「見ろ、D組がまだ走っているぞ・・・!」
観客の中からそんな声が聞こえ、いかに追い込まれている状況なのかがわかりました。

フロントのシフトレバーをいっぱいに引き、
単独で平均速度28km/hを維持する難しさと対峙しつつも、
わずかながら感じる集中力の薄れ・・・。

「ここまで来て、諦めるわけにいかない・・・!!!!」

綱渡りの状況で走り続けてきたものの、
無情にもPC12まで残り55kmのところでパンク。

5kmおきに小さな集落がある地域ですが、すぐそばにサポートブースがあったのでコンプレッサーを借りてチューブを交換するのに5分ほど。


こうなると、
「パンク修理に時間がかかったからクローズ時刻に間に合わなかった」
では許されません。。。



汗まみれ、半泣きで下り坂も登り坂も全力疾走。
「3分前には着ける!」「1分前かもしれない・・・!」
「次の山をどうやって越えよう・・・!」
「全開で踏んでも、あのカーブは曲がりきれるはず・・・!」

精一杯ペダルを踏み、時計を睨みPC12 MORTAGNE-au-PERCHE(1089km)に到着。無我夢中でチェックカウンターへと駆け込みました。
PC12のクローズ時刻は8月19日13時37分。

「どうにか間に合っていてくれ・・・!!!」

「さあ、早くパリへ行きなさい・・・!!!」


通過記録はなんと1分前、8月19日13時36分!

緊張や不安の糸が切れると同時に涙がボロボロと溢れ出し、
自分でもどうしようもなくなってしまいました。



再びゴールに向かって走ることが許され、距離はわずか(?)140km!
とうに疲れ果てているはずなのに、不思議と力が湧いてきます。


・・・このPBP実走レポートも2週間近い長旅になっており(お付き合いいただき、ありがとうございます!)、
この140kmをどう書こうか考えたのですが、特記すべき出来事はありません(笑)



ひとつの目標であったPBP1,200kmの完走を掴み、
ブルベを走り始めてから4年間のことを思い出したり、
送り出してくれた友人や家族、PBP参加に協力してくれた上司や仲間たちへ、素直に感謝したり。


45時間を切るタイムで完走する先頭集団は歓声のなかを駆け抜けていったのだろうと思いますが、24時間差の後方を走っているので、観客も疎らになっていました。


「もっと速くなる・・・!」



サンカンタンのベロドロームにゴールしたのは 19日22時11分。無事、1230kmを77時間26分で完走しました!



わずか15分差でスタートしたT君は7時間前にゴールし、先にパリへ帰ったとのこと(汗)完敗です!
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[2015/09/13 15:34] | 未分類
トラックバック:(0) |

乾杯編です。
ラットフィンク
いやぁ!凄い経験をしましたねー!
改めて思いました。
私だったら生きる姿勢が変わったかもしれません。
ありがとうございました!


おめでとう
閑話休題
完走おめでとうございました。
楽しく読ませていただきました。
これからも楽しみにしています。


劇的なフィナーレですね
こじま
「170kmを6時間40分以内、 平均速度28km/h以上で走れば間に合う・・・!」

ものすごくポジティブですね。
その思いが1分前通過に通じたのでしょう。
あらためて、完走おめでとうございます。

Re: 乾杯編です。
奇特男子
ラットフィンク様
コメント、ありがとうございます!私もこの旅で大きな影響を受けました。秋から、今まで経験していないことにもチャレンジするつもりです。今後ともよろしくお願いします!

Re: おめでとう
奇特男子
閑話休題 様 コメント、ありがとうございます。いま、フランスの輪行編を書いているのですが、
こちらのほうが楽しんでいただけるかもしれません(^-^; 今後ともよろしくお願い致します!

Re: 劇的なフィナーレですね
奇特男子
こじま様 ありがとうございます!私自身も信じることができない力が出たのですが、きっとPBPでは誰が同じような状況に追い込まれても、諦めないと思います。走りに酔える、最高の舞台です!
これからもランドナーで、様々なことに挑戦しようと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。

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こんにちわ、五十嵐です。
PBP1200kmレポートが長々と続いていますが、まだまだ続きます・・・(^^;

8月16日16時45分にパリ郊外サンカンタンをスタート、
8月18日4時にPC6 BREST(614km)を発ち、復路パリへと走り出しました。

スタートから35時間以上が経過。ここまでの睡眠時間は合計4時間ほど。ここから先は睡魔との戦いになりました。

途中からペースが合い、意気投合したMr.Antonyはアラスカから参加。日本では見かけることが少ないリカンベントスタイルですが、PBPでは意外にも多く見かけました。


「眠くならないのかな・・・」
考えることは寝ることばかり。速く走って睡眠時間を稼ぐか、ゆっくり走って疲労を最小限に抑え走り続けるのか・・・。

救急車を何度か見かけましたが、どうやら走りながら眠ってしまい、転倒や側溝に落ちる方が何人かいたようです。


「ブレストまで600kmを34時間で走ったのだから、10時間寝て、そのあと往路と同じペースで走れば80時間以内でゴールできるのでは・・・」
とも考えられます。
しかし、各チェックポイントのクローズ時刻が決められているので、私のペースでは「さらに300km走って、2~3時間眠れるかどうか」という状況です。

高原から下りると濃い霧に包まれました。

眠気を感じる度に200mを全力疾走して目を覚まし、前へ前へと進みます。

PC7 CARHAIX-PLOUGUER(698km)に到着したのは18日9時12分。


クローズまで2時間15分ほど。

「この調子で夜まで走れば、睡眠時間を作れるかもしれない・・・!」
晴れ間が見えてくると眠気が失せたように感じ、旅を楽しもうとグルメツアーを始めてしまいました。

フランスではポピュラーなFlan(卵と牛乳で作ったタネをパイ生地の上でのせて焼いた菓子)にハマってしまい、チェックポイントやカフェで見つけるたびに必ず注文!ボリュームもあり、栄養補給に最適です!


coffee&cakeはどこで食べても美味しくて、応援してくれる地元の人たちとつい話し込んでしまいました!

「PC8 LOUDEAC(780km)のクレープも美味しい!」と聞き、通過チェックの手続きを済ませる前に、フランクフルトのクレープをチェック!

そんなことをしていたら、80km手前ではクローズまで2時間15分あった余裕が、ここではわずか1時間15分へと大幅に減少(汗)
18日15時47分。残り450km、32時間・・・。

ペースを上げても長い睡眠時間を確保するのは難しくなり、ここで作戦を変更!

この先の各チェックポイントをクローズ時刻1時間前に通過し続け、パリまで寝ないことを決意しました!(今考えるとても無謀・・・)



次のPC9は往路でも通ったTINTENIAC(865km)。

日没直後の21時36分に到着。計画通り(?)クローズ62分前。

「遅いじゃないか!」

往路で寄ったときも声をかけてくれた地元のおじさんが待ってくれていて、
私に代わって観客たちに自転車を解説してくれました(笑) 

PBPを完走すること、4年後の再会をおじさんに誓い(?)、停車時間10分でパリへと出発。


TINTENIACの町を出ると暗闇に包まれ、道を照らすのはフロントライトの明かりだけに。

この頃から参加者は散り散りになり、森のなかをひとりで進まなければならくなりました。

すると眠気と、ぼんやりとした妄想・・・ここから幻覚の世界へ。

森と畑の間を走っているうちに、
「景色が茨城県に似ている」と思った後、
PBPを走っていることをすっかり忘れ、
いつの間にか夜の筑波山麓を走ってることに。

あるとき周囲が明るくなり、道沿いのアジサイが
“自転車のパンクを修理している友人の姿”に化け、
「チューブを持ってきて!チューブを持ってきて!」と執拗に頼まれ・・・。

自転車が走り続けていることだけは理解しているのですが、
あたりにあるものすべてが、様々なものに化けて見えました。

「やめてくれ・・・!!!!」
大声で叫ぶとあたりは暗闇に戻り幻覚は消え、
現実の世界に戻りかけるものの、またすぐに幻覚のなかへ。

幻覚、幻聴と、現実の世界を何度か行き来したあと、
いつの間にかコースを外れ、舗装されていない道を走っていることに気付いて目が覚めました。



「走り続けるなんて、パリに帰るなんて無理だ・・・」
完走できないはずがない。根拠のない自信が崩壊。
GPSで現在位置を見ても何処にいるのか理解できず、
幻影につきまとわれたまま、来たであろう方向に自転車を走らせ、どうにかコースに戻りました。


城塞の都PC10 FOUGERES(919km)に辿り着いたのは19日1時20分。町の中でも進行方向を錯覚し、立つことさえ辛いほど目がまわり、まさに失神寸前。

ボランティアに連れられチェックを受け、休憩所のマットレスの上に寝転がりました。
「クローズ時刻まで、20分寝よう・・・」


こうして、深い眠りについたのです・・・。



次回予告
パリまで残り311km。
幻覚と幻聴は悪夢の始まりに過ぎず、
この“仮眠”から始まる過酷な旅・・・。
夜明けとともに訪れる過去最大のピンチを乗り切れるのか!?

乞うご期待ください!

[2015/09/07 09:10] | 未分類
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途中ですが、質問です。
ラットフィンク
いよいよ佳境に入って来ましたね。
隠しCPってあるのですか?


Re: 途中ですが、質問です。
奇特男子
ラットフィンク様
コメント、ありがとうございます!
今回は往路、復路と一ヶ所ずつありました!
往路で、「・・・?これって復路の隠しPC・・・???」といったようにバレてしまっていましたが(笑)
flan nature(焼き菓子)がとても美味しかったです!

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こんにちわ、五十嵐です。

4年に1度開催される“PARIS BREST PARIS Randonneur”に出場しました!

16日16時45分にパリ郊外サンカンタンのヴェロドロームをスタート、
17日16時15分にPC5 LOUDEAC(448km)を出発しました。

PBP1200km(実際には全長1230km)のうち、折り返し地点のPC7 ブレストはスタートから640km。

ブレストは遠いなぁ、と思いつつ走っていると、逆方向に向かう集団とすれ違いました。一瞬の出来事で呆気にとられ、シャッターを切ることさえできなかったのですが、どうやらこれがPBPの先頭集団だった様子。

なんと、平均時速30kmを25時間以上維持してパリへ向かっているというのです!!!

「わずか45分差でスタートした集団が、私よりも250km以上前を走っている...!」

驚きを隠せず、追いかけようなんて考えることもできず、でも絶対に完走したいと思い、

PC6 CARHAIX-PLOUGUER(526km地点)では夕食をしっかり食べました!

パリから離れるにつれてカフェなども少なくなり、2回目の夜に突入!

「半分以上の距離が残っているし、あと2日間も走り続けなければならない。」

暗くなり始めると、どうしても不安が募ります。

大西洋に突き出すブルターニュ地方、中央部のノアール山地は寒暖の差が大きいことでも有名。

この時期昼の気温は25℃まで上がり、夜には北風が吹きつけ10℃まで下がります。

標高はもっとも高いところでも330mほど。登り坂では心拍数が上がり、目が覚めるものの、時刻は深夜0時。スタートから32時間。睡眠時間は2時間。霧のかかった下り坂では、ついウトウト...

ブレストまで25km。ある集落を通りかかった時、「ちょうどクレープが焼けたから...」と、呼び留められました!

じつはこのあたり、フランスでは有名なそばの産地でもあり、郷土料理はそばクレープ!

寒さに震えながら熱いコーヒーでそれを流し込み、ブレストへと出発!

市街地を走っていると同じ場所をぐるぐると回っているような感覚に。

幻覚、幻聴に襲われる前触れだと気付きましたが、すぐそばのブレストを目指して疾走。

深夜2時。寒さで脚を止めることができずに走り続け、やっとの思いでブレストに到着しました!


軍港の街ブレストはナチスドイツに占領された後、連合国軍から地形が変わるほど激しい空爆を受けたため、建物は比較的新しいものばかり。日本に帰ったかのような錯覚に捕らわれてしまいました。


寒さに耐えきれず、レッグウォーマーを購入...。

多くの参加者がこのチェックポイントで仮眠。

たしかこのあと、私も食事と仮眠をしたはずなのですが、写真も記憶もありません(汗)

ここで仮眠したのは推定30分ほど。


未明4時ブレストを出発。ふたたびノアール山地へ。


パリへ向かって濃い霧のなかを走りはじめました。



「パリに向かい始めた、陽が昇りはじめた」ということがぼんやりとしている脳に刺激を与え、喜びを感じ、眠気は少しずつ薄れていきます。

高地に登ると雲海の向こうまで見渡すことができ、まるで空を飛んでいるような気分。

行き交う参加者たちはバイクの上で満ち足りた笑みを浮かべ、様々な時代の、個性的な自転車が同じ道を走る光景はとても幻想的なものでした。

夜明けは間もなく!残り500km!パリはもう見えている!

この高揚こそ、ブルベの醍醐味なのだと思います!

PBP参戦記、まだまだ続きます!

[2015/09/03 20:52] | 未分類
トラックバック:(0) |


すどう
すっかり覚めてしまったブルベ熱ですが、五十嵐君のレポートを読んでいるうちに、メラメラと再発しそうで怖いです(笑)。

Re:
すどう様
ご無沙汰しております!
そう言っていただけると嬉しいのです…!
しかし、じつは私もしばらくブルベを休もうと思っています(^^)

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